看護師が退職しようとすると、必ず「引き止め」られます。
切羽詰まった状況では「明日から来ません!」と退職届を出し逃げする(退職届を提出すれば民法上は2週間で退職となります)とか、退職代行サービスを利用するといった方法もあります。が、そこは最終手段。そこまで行く前に円満に退職したい。
ならばまずは準備です!準備なくして師長を攻略することはできません!
退職のルールを確認! ルールはキッチリ守る!
まずは職場の「退職の規則、ルール」を確認しましょう。同僚や先輩に聞くのではなく、必ず「就業規則」をキッチリ読み込むことです。
退職届を出す期日を確認する
就業規則には「退職の〇日前までに『退職届』を提出」とあるはずです。「辞表」や「退職願」ではなく「退職届」(*必ず就業規則の記載をご確認ください)退職の意思を示す最も効力のある文書は「退職届」です。
これをいつまでに提出するのかと、書き方の指定等々を「就業規則」で確認しておきましょう。
不文律のルールを把握する
多くの職場には前述した「退職届」の提出前に「退職の意向を申し出る」というしきたりがあります。看護師の場合、師長が「年度末に退職希望の人は、12月末までに申し出でください」というお達しです。
こうした職場独自のルールは就業規則に定められているものではありませんが、引き止めを回避し、円満に退職するためには「守った方がいい」ルールでしょう。
敵の出方をイメージする
次にいよいよ「師長をいかにして攻略するか」です。
師長の日頃の言動から、敵(もちろん師長のことです)のおおよその出方をイメージしておきましょう。
仕事熱心なタイプの師長の場合
看護を自らの天職とし、スタッフにも自己研鑽を求めるような仕事熱心なタイプの師長は、引き止めの際に「キャリア形成の点で転職が最良の方法ではない」と説いてくることが予想されます。
「もう1,2年この職場で頑張って〇〇の資格取得を目指してはどうか」とか、研修参加や重要ポストへの登用を引き止めの材料としてチラつかせてくるかもしれません。師長自身がどのようにしてキャリアを積んできたかー、といった話を聞かされるかもしれません。
自身がめざす関連分野の情報収集をしっかり行い、仕事熱心な師長の引き止めに備えましょう。
統率力のない師長の場合
スタッフとの適切な距離が取れず、自らも人間関係悪化の原因を作っているようなタイプの師長。統率力がなく職場の多くの問題を「スタッフの人間関係の問題」で済まそうとする、ま、ダメ師長ですね。
こういうタイプの師長は退職の申し出に対しても「人間関係はお互い様だから」とか「これも看護師の成長の課題だから」というよく分からない説得をしがちです。
退職の理由に「人間関係」を匂わせると敵の思うツボです。話が人間関係の不満にすり替えられないよう充分に準備しておきましょう。
面倒なことから逃げるタイプの師長
一番厄介なのはコレ! 話に応じない「逃げる」タイプの師長です。
そろそろ定年間近という年配師長に多く見られ、日頃から看護師と医師や他部署のトラブルに対処しなかったり、患者さんからのクレームもテキトーに処理するタイプです。
このタイプの師長は退職の申し出に応じないことが予想されます。長年の経験から「師長、あのお話がー」だけで「ん?退職だな……」という察しをつけ、巧みに話の機会を避けていきます。ふつうに「師長、お話がー」で逃げられてしまう場合は、「○日の仕事の後にお時間をいただきたい」とか「お話があるのですが、〇日と△日のどちらが都合がいいでしょうか」など具体的に攻め、場合によってはメモや文書で約束をとる準備もしておきましょう。
看護師のみなさん、敵はどんなヤツか、どう出るかー、これまで師長の数々の言動に悩まされてきた「経験」を生かすのはココですよ!
こちらの情報は絶対に漏らさない
自分が退職を考えていることや目ぼしい転職先があることなど、ついうっかり人に話してしまいがちです。が、これは絶対にやってはいけません!
師長に退職を申し出る前に同僚や職場の人に話をしてしまうと、いつどこで、どんな形で敵(もちろん師長です)の耳に入るか分かりません。退職の意思を先に知られてしまうと引き止めの材料を準備する機会を与えてしまい、勤務異動などの手を打たれてしまうと退職の交渉が厄介になります。
たとえ仲が良い相手でも、退職する準備を進めていることは絶対に明かさないようにしましょう。
まとめ
「彼を知り己を知れば百戦あやうからず」という故事成語があるように、相手の戦法を知り、自分の戦い方を知ることが戦いを優位に進める秘訣です。看護師長の引き止め回避も、まずは準備から、です。
充分な準備が整ったら、いよいよ直接対決です。