【看護師長必見】退職希望の看護師は、絶対に引き止めてはいけない!

引き止め看護師長向け

「あの…師長、実は退職を考えているんですがー」
「ハイ、どうぞ!今月?来月?それとも最短で2週間後?」

みたいにアッサリ辞めさせてくれる職場なんてありませんよね。もしそんなこと言われたら、そりゃもう言われる側に問題があるとしか考えられません。

というくらい退職の申し出には師長の「引き止め」はつきもの。師長時代の私も、数多の退職希望者に「引き止め」を行ってきました(引き止めた側です)。
が、「引き止めは通過儀礼」「どうせ、引き止めても辞めるよね」という気持ちでいたためか、ほとんどの看護師は華麗に飛び立っていきました。

ということで、看護師の退職に頭を悩ませる全国の看護師長に向けて「退職希望の看護師は絶対に引き止めてはダメ」をお届けします。

◆看護師長の「引き止め」に泣いている看護師の皆様はこちらの記事もどうぞ。

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引き止めの現場は「仁義なき戦い」

私が見送った退職者数を看護協会が出している「平均10%」で考えると、

3人(年間退職者)×7年(師長在任期間)=21人

いや、体感的には倍はいましたね。退職者が3人なんて平和な年はなかったと思う。そのすべてに対して「引き止め」を行ってきましたが、引き止まった人はわずか2~3人です。で、その一度は引き止まった人も次の年には「やっぱり辞めます」と言い出すため、ほぼ100%が「引き止め」の努力の甲斐なく辞めていきました。

全国の凄腕師長さん方は、「そりゃ、アンタの引き止め方が悪いからよ」とお思いかもしれませんが、非力ながら私もやるだけのことはやってまいりました。しかし、そもそも、なんの考えもナシに「辞めたいです」って言ってくるアホな看護師はいません。

看護師がこしらえてくる「定番の退職理由」は、だいたいこの3つ。

・キャリアアップ
・他の分野の経験がしたい
・家庭の事情

本気度はさまざまとして、はじめから「人間関係がー」とか「仕事の負担がー」とか「給料がー」「残業がー」といったホントの理由をぶつけてくる人はいません。

引き止めの現場は円満に退職するための理由に難癖をつけ、あげくホントの理由をあぶりだして、「人間関係が上手くいかないのはあなたのほうにも原因があるんじゃない?」とか、「看護師の仕事は責任の重さを感じてこそよ」とかネチネチ言い出し、しまいには、「あなたみたいな人は、どこに行ってもやっていけないわよ」なんてことまで言い出しかねない、まさに「仁義なき戦い」です。

「あなたみたいな人は、どこに行ってもやっていけないわよ」って、ホントにそんなにデキの悪い看護師だったら辞めてもらって結構。なぜ引き止める?”ウソ”でも”仮”でも辞めたい本人が準備してきた理由を「最大限尊重しよう」というのが、当時の私のモットーでございました。

が、私のこのモットーにマッターをかけるヤッツーが。

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引き止めて引き止まってしまう人とは、

せっかく意思を尊重しようと思っても退職の理由を深堀りするとアラが見えてくる残念な人がいます。「進学を考えています」と言いながらどこに学校に行くのかも考えていないし、とっくに出願期間も過ぎている。「おばあちゃんの介護をー」と言いながら、そのおばあさんの介護度も利用している介護サービスも知らない。

瞬時に「あ、ウソの理由やな……」と分かるんですよ。そして、そこから続く不毛なやり取りー。「こんなしょぼい理由しか思いつかんヤツは引き止る価値ナシ」と思いながらも、「じゃ、もう少し考えて来週返事をちょうだいね」と遠い目をして伝えるしかないのですよ。が!そういうヤツに限って、後日「やっぱり辞めるのやめます」と言ってくる。なぜじゃ! 私がやっているのは「引き止め」じゃなく「引き寄せ」ですかっ!?

しかも「私が辞めると、この病棟も大変だと思うしー」みたいな恩着せがましいことまで言いやがる。「なんでお前にそんなことを言われなならんのじゃぁ、ごらぁあ!」という怒りを全力で押し殺し、「そう、よかった。じゃ、一緒に頑張りましょう」と返すしかないのです。

ああ、なんたる無力感。

一方、ホントに辞めてほしくない有能な看護師は、引き止めても決心が揺らぐことはありません。

転職希望の病院も決めており、どのような看護が行われているかもリサーチ済み。「なぜその病院なのか?」「なぜこの時期なのか」も明確です。退職までの期間も余裕をもって申し出てくるし、「退職まではしっかりと働きます!」という決意までー。

もう、止められません。むしろ応援したい。「さぁさぁ、私の背中を踏み台にー」とキメてみたところで、有能な看護師はとっくに手の届かないところに行っています。その背中すら見えない。まことに残念ではありますが、辞めてほしくない人は、何分、何時間、何週間話そうとも「辞めるのやめます」とはなりません。

その退職までの貴重な時間を「ぜひ今の職場に使っておくれ」と願うだけです。

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師長、「引き止め」やめるってよ

私はある年から、看護部長や院長の考えを無視し、「退職時の引き止めは一切いたしません」と外科医・大門未知子のごとく宣言しました。

「退職の申し出時には、理由は聞きますが『引き止め』はしません。なのでしっかりと決意を固めて申し出てください。もちろん辞めようかどうしようか悩んでいますー、という相談にはのります。いつでもどうぞ」

が、そういったところで退職者の数は変化なし!

「師長、今年度末で退職したいんですけどー」
「ハイ、わかりましたー!」

で終わるわけにはいかないので、

「そう。理由は?」
「今後は具体的に決めているの?」
「よく決心したね。いつ頃から考えていたの?」
「転職で何か不安なことはない?」
「辞めるまでの希望や予定は?」

などは聞きます。

このやり取りでは、私の「引き止めなくていい」と看護師たちの「引き止められなくていい」が見事にランデブーし、下手なウソを聞かされることもなく、「どーせ辞めるんだから言いたいこといってやるしー」みたいな攻撃を受けることもなく、「人間関係」や「仕事のやりにくさ」などホントだったら言いにくいことでもほぼ平常心(ほぼ、ね)で話し合うことができました。

で、気づいたことは、退職の申し出時にはじめてその看護師が考えていることや悩んでいることが分かる、では完全に手遅れ。そういう状態にしていた師長である私自身の力のなさです。

定期面談だけでなく日頃から看護師一人一人がどういう考えで仕事をしているか、人間関係に大きな悩みを抱えていないか、キャリアプランや私生活とのバランスをどうしていきたいのかなどを理解しておくこと。これがデキていないのに、「だったら勤務異動はどう?」とか「ちょっと研修に行って気分を変えてみるっていうのはー」といった姑息な手を使ったところで、有能な看護師は引き止まることはありませんから。

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まとめ

退職希望の看護師をなぜ引き止めてはいけないか

・引き止めて引き止まるような人は、結局辞めていく
・たとえ引き止まっても、変な恩を着せられる
・引き止めにかかる時間は無駄。ほかのことに使ったほうがイイ
・姑息な手を使うより、引き止めない職場風土を作るべき

◆「引き止めなんてやってる場合じゃない。私が辞めたいのよっ!」とお嘆きの看護師長さんには、こちらもどうぞご一緒に。

◆「看護師長ってマジ怖いよね」と思われる方、また日頃そう思われていることに忸怩たる思いをしている方は、こちらもどうぞ。

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