新型コロナウイルス感染が世界に蔓延し、人の移動が制限され経済にも深刻な影響が出はじめています。生産や販売を減らさざるを得ない、また、それによって休業や廃業に追い込まれる企業も少なくありません。
今後日本は不景気になると言われています。
こういうときに必ず言われるのが、「看護師さんは景気に関係がないからいいわよね」の一言。
「看護師は不景気に強い」はホントなのでしょうか。
不景気になると看護師の志願者は、
増えます。
といっても、看護師人口自体が、ずっと増え続けているのです。
「就職先が多い」「長く勤務することができる」「いったん退職しても復職しやすい」「給与も安定している」といった理由から、不景気下ではさらに看護師を目指す人が増えてきます。
不景気になると看護師の離職者は、
減ります。
景気に左右されないとはいえ、世の中の暗澹としたムードは看護師にも影響を与えます。
職場では医療材料や備品のコスト管理がシビアになったり、経済的問題からピリピリする患者さんや家族が増えたり、家庭では家族がボーナスカットや失業に見舞われるかもしれません。
こうした影響から、看護師も退職や転職を控える傾向があります。
不景気になると看護師の給与は、

基本的には変わりません。
医療は健康保険制度によって「公定価格」が決められています。景気が良いからといって、病院や施設の売り上げが伸びる、儲かるというわけではありません。
看護師の給与は経験年数や勤続年数でおおかた固定しており、景気(=社会全体の経済成長率の変化)の影響はわずかです。
しかし不景気が長く続くと、受診を控える人が出てきたり、医療費の抑制を目的に診療報酬がマイナス改定となる事態が生じます。
こうなると病院は収入減となり、看護師の給与や、特にボーナスへの影響が出てくるでしょう。
看護師は不景気下でどう働くか
資格があり働く場所も多い。給与もそこそこ安定している看護師は、他の産業に比べると景気の影響を受けにくい仕事です。
しかし、不景気が長引けば少なからず影響は出てくるでしょう。
現在の診療報酬制度の中では、看護師は「数」が問題であって、経験年数や技能といった「質」は問われていません。少しでも人件費を抑えたい経営者は、給与の高いベテラン看護師よりも、毎年毎年市場に出てくる若い看護師を安く雇いたいと考えるはず。
看護師の専門資格に対しても、資格や仕事内容に見合った手当が支給されなくなったり、資格取得の支援がカットされるかもしれません。キャリアや専門資格をウリにした転職も厳しくなることが予測されます。
「看護師は不景気に強い」は確かにそうですが、長引けばそうも言ってられません。
看護師は景気に左右されない安定した仕事であるがゆえに、景気や経済に疎いという一面も持ちます。
「看護師は不景気に強い」に胡坐をかくことなく、これからくるであろう不景気に備えて働き方をしっかりと見定めていきましょう。