2020年、新型コロナウイルスの感染が拡大し、看護師の働く環境にも大きな影響が出始めています。
「看護師は不景気に強い」と言われていますが、看護師という仕事のリスクの高さが浮き彫りになり、将来的な志願者の減少につながることも予測されます。
そんな中、注目を集める中高年の看護師の再就職、再雇用。
2021年の日本看護協会のデータによると、50代、60代以上の求職者は依然として多い状態にあります。
60歳といえば、かつては「定年」と言われた年齢です。しかし定年の引き上げや廃止、再雇用制度などによって60歳以降も働ける環境づくりが進んでいます。
60歳まで働き続けた人だけでなく、看護現場を離れブランクがある人にも働くニーズとチャンスがある今、60歳以上の看護師のセカンドキャリアとしての働き方にはどのような特徴があるのでしょうか。
60歳以上の看護師の働き方の特徴

就業場所
病院やクリニック、健診機関、介護施設、訪問看護など、60歳以上の看護師の就業場所はさまざまです。特に60歳を過ぎて再就職する看護師は、訪問看護や介護施設、小規模の病院などに就職しています。
それまでのキャリアや資格を生かして管理職やリンクナースとして働く看護師もいます。
雇用形態
60歳以上の雇用は、嘱託やパートなど非正規雇用が多くなります。
ライフワークバランスを重視し、希望に応じた勤務時間を設定できることなどから、看護師自身もあえて正規雇用にはこだわらないという特徴が見られます。
勤務形態
60歳以上の看護師が希望する勤務形態は、日勤のみ、時短勤務などさまざまです。
体力的な問題から夜勤を避ける傾向もありますが、なかには夜勤専従を希望する人もいます。
給与
60歳を過ぎて再就職する場合、多くはそこからの昇給は見込めないでしょう。
嘱託や非常勤の場合は、専門資格に対する手当がないケースもあります。仕事を続けてきた人の60歳時点の給与よりは「かなり少ない」と言えるでしょう。
60歳以上の看護師の求人の特徴
慢性的に人手不足が続く看護師は、60歳以上であっても就職先は幅広くあります。
60歳以上向けの求人とは
大規模病院や専門性の高い病院は、若い看護師やキャリアアップを目指す看護師を採用する傾向が強く、60歳以上の看護師の採用はほとんどありません。
裏を返せば、若い人やキャリアアップを目指す看護師には向かない職場が、60歳以上の看護師を求めている職場でしょう。
・専門性は低いが広い知識が求められる職場
・多職種との調整力を必要とする職場
などの特徴がある、小規模の病院、介護施設、訪問看護、地域医療などが、60歳以上の看護師を求めています。
「年齢不問」の実態
しかし、現実はこれだけではありません。「とにかく看護師がいない」「すぐに辞めてしまう」「誰でもいいから採用しなければならない」といったワケありの職場が、60歳以上であっても積極的に採用している実態もあります。
60歳以上の看護師のセカンドキャリアとしての働き方の課題

60歳の定年を過ぎても、これまでのキャリアや実績を活用し、なおかつ熟年ならではの人間力を生かして働く看護師を「プラチナナース」と呼びます。
どこの誰が言い始めたのかはわかりませんが、プラチナの如く高貴な光を放つ活躍ぶりを想像させるかもしれませんが、現実は必ずしもプラチナではなく、メッキが剥がれかかったサビた金属でー。
つまり、理想と現実のギャップがあることを何よりも覚悟しておかなくてはなりません。
知力、体力は低下している
新しい検査や治療など「覚えること」が年々苦手になってくるでしょう。
新しいことが覚えられない一方、身についた古い(しかも間違った)やり方が抜けない、注意や指摘に対し謙虚に受け止められないなど、柔軟性にも欠けてきます。「自分はそうじゃない」「そうはならない」と思うかもしれませんが、おそらくみんな思っているのにそうなっているのです。
体力も然りです。目・肩・腰だけでなく、夜勤や連勤による疲労の蓄積が血圧のコントロールやホルモンバランスの変調をきたすことがあります。
世代間ギャップは想像以上
20歳代で看護師になりそれなりに働いてきた人は、当時と変わらない感覚を持っているかもしれません。
しかし「デジタルネイティブ世代」と言われる今の20代前半の看護師たちは、生まれたときからITに親しみ、個人を尊重し、争いや比較を好まない世代です。
自分たちの20歳代当時とは、価値観も理解の仕方もまったく異なるということを知っておきましょう。
まとめ
・ライフワークバランスを重視した働き方(正規雇用や高給にこだわらない)
・60歳以上向けの職場を探す
・理想と現実のギャップを覚悟する
◆60歳以上の看護師の仕事探しのポイントはこちらの記事をどうぞ