看護師長の仕事は想像以上に過酷です。
時間外の院内外の会議や研究会、患者からのクレーム、スタッフ同士のトラブル、医師や他の部署との調整、夜間や休日にもある職場からの電話、持ち帰って作らなければならないシフト表。それらが看護師長の仕事だと分かっていても、いつも前向きにやりこなせるものではないでしょう。
なかには親の介護問題など仕事以外の負担が増えたり、過度のストレスによって体調を崩してしまう人もー。
これは昇進を断れずにしかたなく師長になった人だけでなく、自分でなりたいと思って師長になった人にも起こりうることです。むしろ師長として「頑張らなきゃ」と思う人ほど陥りやすいのかもしれません。
「看護師長を辞めたい。今の職場を辞めてスタッフとして転職しよう」というのも一つの方法です。
が、「希望降格」という選択があることをご存知でしょうか。
看護師長の「降格」って”まれ”?

「○○師長って、4月からスタッフになるんだってよ」なんて話はめったに聞くものではありません。長いこと年功序列や経歴重視でやってきた日本の会社組織では「降格」自体が ”まれ” な話だったのです。
「引責」や「懲戒」としての降格、もしくは能力が役職に見合わない、足りないという「評価」による降格ー。こうした降格は、看護師の職場にもあるにはあることです。
が、よほどの能力不足でなければ降格させにくいし、たとえ降格の対象になったとしても同時にソフトな肩叩きが行われて表向きは普通に退職していくので、師長の降格が実現することは ”まれ” だったのです。
看護師長の「降格」の実際
「降格」というと、なにか「やらかした人」に下される「処分」のような印象ですが、働き方や仕事の価値観そのものが多様化した今、役職を降りてスタッフとして働くことを希望する人も増え、それに応じる職場も増えています。
懲戒や能力評価ではない希望降格が増えている
現在の看護師長の降格は、懲戒や能力の評価によるものではなく本人の希望によるものが増えています。
自身の健康問題や心理的負担感、ライフワークバランスなどを考えて、師長職を降りてスタッフとして現在の職場で働き続けるという選択です。
希望降格の制度がある職場が増えている
降格することで退職が回避できれば職場にとってもありがたいこと。特に一度は師長の仕事を任せたほどの信頼できる人材であれば、簡単には手放したくないはずです。
こうした事情から、本人の希望で降格できることを制度化している職場もあります。
制度がない職場では希望降格は難しい?
希望降格の制度がない職場でも、師長から降格しスタッフとして働き続けている実例はあります。
あまり良い話ではありませんが、本人が師長として限界を感じているケースでは他者からも能力不足と評価されていることが多いのです。「評価」か「希望」かを厳密に区別するまでもなく、相互の話し合いの中でベストな方法として降格となるケースが実際には多いのです。
まとめ
看護師長の希望降格は一つの選択肢です。
降格を希望する師長と、それに応じる職場は増えています。しかし実際に降格するとなるとそれなりのリスクが伴うこともー。
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