看護師の転職で「看護師転職サイト」を利用するのは、もはや定番です。
「今の仕事辞めよっかな、他の病院ってどんな感じなんだろう?」というライトな疑問から、「絶対辞めてやる!クソ主任がー!!」という鬼気迫るものまであらゆる悩みを吸い上げ、「経験がなくても転職できますよ」「残業なしで月40万円も可能!」と、おすすめの職場を紹介する便利なサイトです。
サイトへの登録はネットで簡単にでき、費用も一切かからない便利なシステム。なのに、一方では看護師転職サイトを利用したのに、なぜか意にそぐわない転職をしてしまう結果もー。
なぜそんな結果になってしまうのでしょうか。
看護師は転職者が多い、はホント?
「看護師は転職者が多いから、それをサポートするサービスが増えている」と考えられています。が、一概にそうとは言えません。
看護師の転職率は横ばいという事実
「看護師は仕事がハードだから転職も多い」という傾向は、今に始まったことではありません。
日本看護協会の2022年の調査では、看護師全体の離職率は、常勤1.6%、新卒10.3%と、新型コロナの影響を踏まえても微増の状態です。
転職者が増えているのではなく、転職を斡旋する業者やサイトが増えている
横ばいの転職者数に対して圧倒的に増えているのが、転職をサポートする業者やサイトと、それらが発信する情報です。
転職希望の看護師に転職先を紹介することで報酬を得る人材紹介会社と、人材紹介会社への登録、誘導で報酬を得る看護師転職サイトやアフィリエイター。これらが発信する情報がネットには溢れています(この記事、このサイトもその一つです)。
看護師の転職活動は、ネットが中心
看護師の転職活動は、転職先情報の検索だけでなく、転職に必要なノウハウなどの情報収集としてネットを利用することが当たり前となりました。
公的機関である「ハローワーク」や看護協会の「ナースセンター」もインターネットサービスを導入していますが、看護師転職サイトは細かな条件設定で検索できることや、条件のいい職場がたくさん掲載されていることなどで他との差別化を図り、そのコンテンツの一つとして転職のノウハウや悩みに関する記事が掲載されています。
看護師転職サイトの情報が、転職失敗の一因!?

本来、有用であるはずの看護師転職サイト。が、看護師転職サイトの利用が必ずしも転職を成功に導くわけではありません。看護師転職サイトを利用したのに転職に失敗してしてしまう、その大きな原因のひとつは記事自体の問題性です。
看護師転職サイトでは看護師の転職に関するあらゆるニーズを拾い上げるために、検索ワードを想定して記事を作成しています。
看護師転職サイトの情報の問題性① 幻想を抱かせる
たとえば「看護師 年収 500万円」という検索ワード。これで検索すると、年収が500万円以上になりそうな職場情報を網羅した記事に行き当たります。
記事では基本給の高い「都市部の大規模病院」や「専門性の高い医療機関」や、成果報酬が見込める「美容クリニック」、専門資格による年収アップが見込める「専門看護師」や「認定看護師」さらに、管理職になれば給料は高くなるので「昇進」について説明されています。「副業」や「ダブルワーク」まで説明する記事もあるでしょう。
こうしたあらゆる年収500万以上の情報を集めた「網羅性の高い記事」を読むと、非常に多くの選択肢があるように思いがちです。ですが、現実的に選択できる進路は限られています。
自分が現実的に選択できる(選択すべき進路)の見極めができていない人は、こうした記事によってさらに迷ってしまうのです。
②看護師転職サイトの情報の問題性② 視野が狭くなる
たとえば「看護師 転職 ○○科」や「看護師 転職 デイサービス」などの検索ワード。
これで検索すると、診療科目や介護事業における看護師の仕事や役割を詳しく紹介する記事がヒットします。「○○科で働いてみようかな……」と考えている看護師には有益な情報です。
が、記事の結論は「○○科への転職は、看護師転職サイトの利用をお勧めします」です。記事を読む看護師を転職(サイト)に誘導したいのですから、その診療科目や介護事業のマイナス面は強くは書かれていません。「医療処置がないので仕事がラク」「残業はほとんどありません」など、おいしいところだけがクローズアップされています。
「○○科で働きたい」「楽な施設で働きたい」といった視野の狭い看護師が、そのまま看護師転職サイトに誘導され、紹介されて就職。働き始めて現実を知り「こんなはずじゃなかった」となるのです。
【まとめ】 情報を鵜呑みにしない!
本来は便利なはずの看護師転職サイト。けれども利用方法を間違ってしまうと残念な結果になりかねません。転職をするかしないか、どのような転職をしたいのか、といった意思までもが看護師転職サイトの情報によって左右されてしまうと、自分の望まない転職へ流されてしまうかもしれません。
自分の意思と現実的な希望条件をしっかりと持ったうえで、看護師転職サイトを賢く利用しましょう。