辞めさせたい! 「問題児ナース」を退職させることは可能か?

看護師長向け

慢性的な人手不足の看護業界において、まさかの「辞めさせたい」問題。

いや、まさかではありません。

やる気がなく、他のスタッフの士気を下げたり、チームワークや指揮系統を無視して好き勝手な行動をしたり、無断欠勤をしたりー。

 

「懲戒処分で辞めさせたらいいじゃん」と思うかもしれませんが、これはめちゃくちゃ厄介。

一生懸命まじめに働いている看護師たちの「あの人さえいなければ……」「師長、なんとかなりませんか?」「あの人が辞めないのなら私が辞めます」という叫びを耳にしながらも、そう簡単に辞めさせることはできないのです。

 

辞めさせたい「問題児ナース」にはどう対処すればいいのでしょうか。

 

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どうして問題児ナースを辞めさせられないのか

懲戒解雇のハードルは高い

まず確認していただきたいのは、「就業規則」です。
ここに「懲戒解雇の事由」が明記されているはずです。

 

例えば、

・正当な理由なく、無断欠勤○日以上におよび、出勤の督促に応じなかったとき
・正当な理由なく、しばしば業務上の指示・命令に従わなかったとき
・故意又は重大な過失により病院、職場に重大な損害を与えたとき
・素行不良で著しく病院、職場内の秩序又は風紀を乱したとき

などが「懲戒解雇が適応される理由」と書かれているでしょう。

 

懲戒解雇というのは、非常に重い処分なのでめったにあることではありません。
無断欠勤を繰り返す場合でも、それが単発で、翌日にはケロッと出勤してくるようなケースでは、これだけを理由に懲戒解雇にはできないでしょう。

「しばしば業務上の指示・命令にー」の”しばしば”とは、「重大な損害をー」の”重大”とは、”素行不良”とは、など、この文面に照らし合わせるだけでは懲戒解雇と判断できないのが現実です。

能力不足では辞めさせられない

懲戒に相当するような明らかな問題行動はないけれど、いつまでたっても一人前の仕事ができず些細なミスが多い。で、注意しても反省しない、してもその場だけで、また同じミスをー。

 

こうした能力が足りないことを理由に解雇することはできません。
その能力を向上させることや、その能力に見合った仕事をコントロールすることが、厳しいようですが管理者の役割なのです。

人手不足/欠員の補充ができない

「あの人がいなくなった分、私たちが頑張りますから!」と健気に申し出てくれる看護師たちもいるでしょう。

が、欠員の問題は現場のオーバーワークだけではありません。

ギリギリの人員で運営している職場では、ひとりの欠員によって診療報酬上必要な人員配置基準を満たせなくなることもあるのです。

「どんな看護師でもいいから”頭数”を揃えておかなければならん!」と経営陣や上層部に言われて苦境に立たされている看護管理者も少なくないでしょう。

 

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どうすれば問題児ナースを辞めさせられるのか

簡単に辞めさせることはできない、だからといっていつまでもこのままでいいわけがありませんよね。何か打つ手はないのでしょうか。

目指すは自己都合退職

いちばんいいのは問題児本人が「辞めます」と言い出すことです。
が、わがままが通る居心地のいい職場で、しかも長年の勤務で給与も退職金も積みあがっているような状況では、なかなか「辞めます」とは言わないでしょう。

なので、当人が感じているこれらのメリットを無くしていくー、有効なのは勤務異動です。

イチから習わなければならない診療科、残業や夜勤がなく「手取り額」が少なくなる職場、鬼のように厳しい師長や医師のいる職場へ配置転換し、「これまでのようにはいかない」と思ってもらういましょう。

ただしあくまでも業務上行うことです。
「新しいことにチャレンジしてほしい」「習う人の立場を理解してほしい」という異動の意図(←100%ウソというわけではありませんからね)を伝え、イジメやパワハラとならないよう充分配慮しましょう。

退職勧奨という選択

それでも「辞めたい」と言い出さない。異動した先でもひと月もすれば好き勝手に行動し始めー、そうなったら次の策を考えましょう。

 

話し合いの上の合意退職、退職勧奨です。
こうした看護師とは「辞める」「辞めない」に限らず、指導の機会として話し合いの場を設けてきたことでしょう。

退職勧奨を行う場合も話し合いは必須です。
なぜ退職を勧めるのかという理由を明確にし、根拠となる証拠を揃えて話し合いにのぞまなければなりません。

・自他の業務遂行に悪影響を与えている具体的行動や言動
・スタッフや患者さんへの問題対応の事実
・これまでに注意指導した事柄と、変化が見られない事実

これらの詳細な事実の証拠や証言を文書に記録して準備しましょう。

 

いよいよ退職勧奨をするときは師長と1対1ではなく、看護部長や院長、事務長などが同席するケースもあると思います。が、これがパワハラ、圧力とともとられかねませんので、同席する人の「中立的立場」を明確にしておきましょう。

 

退職勧奨は退職の強要ではありません。
職場側が提示した退職勧奨の理由に対して、当人の反論や弁明を聞く気持ちでいること、退職を拒否する権利があることなどをあらかじめ伝えておきましょう。

 

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「辞めさせたい」問題児ナースを生み出さないためにできること

辞めさせたい看護師が出るたびに、それを「影の目的」にした勤務異動をしたり、証拠や証言を揃えて退職勧奨をしたり、そんな面倒ごとは避けたいものです。

たとえ退職勧奨がウマいこといって「辞めれくれた、ホッ」と思っていても、しばらくして「不当に退職に追い込まれた」と訴えてくるかもしれないのです。

「辞めさせたい」看護師を生み出さないことー、それが最大の有効対策です。

キャリアや能力に見合った業務と責任を与える

自分勝手で協調性がない、長年のやり方を変えない、あるいは能力が低いなどの理由で、経験年数に見合わない「楽」なポジションにいる看護師は「問題児」になりがちです。

触らぬ神にー、ではなくではなくきちんとした役割と責任を与え、成長を促すことが必要です。

50歳代、60歳代にもなると、個人的な成長は難しいかもしれませんが、若い看護師が作っていくチーム、組織を下支えすることも必要な役割と理解してもらいましょう。

無理な引き止めをしない

人員不足のため辞めさせたくない、「上層部から退職させてはいけないと言われているから」という理由で、無理な引き止めをしている職場は、やがて問題児ナースの巣窟になるでしょう。

やりがいを失った看護師のなかに、「辞めないでいてやってる」「少しくらいサボっても辞めさせられることはない」という気持ちが芽生えてしまうこともあるのです。

「辞めたい」という看護師には前向きに気持ちよく退職してもらい、風通しのいい職場を作ること。これこそが「辞めさせたい」看護師を生み出さない方法だと思います。

 

 

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